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来るかグレートリセット!激変の時代に備えよ【前編】/ゲスト長嶋修さん

来るかグレートリセット! 激変の時代に備えよ【前編】

 

▼はじめに

日矛

皆さん、こんにちは。

今回は長嶋修さんにお越しいただいています。長嶋さんといえば、不動産コンサルタントとして長く経験を積まれ、金融についてもすごく明るい方です。

今回は、金融や不動産の話ももちろんですが、世界情勢や今後の日本の行く末などの話も含めて色々と伺っていきたいと思います。

よろしくお願いします。

長嶋修

よろしくお願いします。

日矛

今度アメリカ大統領選があり、日本では石破新政権が誕生したということで色々と金融の世界でも動きがあると思いますが、そのところのお話をまずお聞かせいただけますでしょうか。

▼金融システムの大きな転換点

長嶋修

はい。
日本の一般的なニュースだけを見ていると、多分何が起きているか全然わからないと思うんですよ。

しかし多分今起きていることは、私は本の中で「グレートリセット」という風に言っているんですけども・・・。

戦後の高度経済成長からバブル、バブル崩壊後の失われた数十年など、これらの清算はもちろん明治維新以降の薩長政治ですね。
要はイギリスが上に被さってきたようなこの体制も変わるし、もっと大きく言うと、この金融システム全般が変わってしまうんですね。

そんなことを普段セミナーや講演で話したり、最近出した新刊では言えることと言えないことがあるので、その触りのところを話したりしています。

結局、私たちが今扱っている金融システムみたいなものは、結構歴史の浅いものなんです。

例えばアメリカが今のFRBの体制になったのは、1913年ですからまだ100年ちょっとしか経っていないわけですよね。その親分格であるイギリスは、1825年にイングランド銀行が金本位制にして今と同じような形をスタートしたということで、200年ぐらいだからせいぜい100年~200年ぐらいの話なんですよ。

だから、こんなのはいつでもひっくり返ってしまうんですね。人生ゲームのボードゲームをガシャンとひっくり返してしまうようなことが、いつ起きてもおかしくないんだということです。

とはいえだらだらととりとめなく、ここまで時代が進んできたわけですけれども、「いよいよこれがひっくり返る。根本的にゲームのルールが変わるのが、これから数年のうちだ」という話をいつもしています。

日矛

そうですね。

実際のところ我々の生活面でも、本当にひしひしと経済の歪みみたいなものを、実感するところですね。
特に先進国の中でも日本は最低の成長率で、そのしわ寄せが、全部一般市民に物価高給料が上がらないという形で来ていますよね。

私が最近の金融システムで一番感じるところは、経済全体のシステムの歪みがすごく大きいということなんですよね。

▼金融システムは最初から欠陥システムだった

長嶋修

この金融システムは、始まった時からもう限界があるというか、持続可能ではないと分かりながら始まったんだと思うんです。

というのも銀行から借金をして、誰かが借金をするとその分が誰かの資産になるというところからスタートしますよね。それでこれをいつか返さないといけないわけですけれども、ここに必ず金利が挟まります。

ということは、お金を借りて金利分を上乗せして返済しないといけない、ということを全体としてやっていくので、適度に経済成長を全体でしないと持続可能ではない、という話になっていますよね。

これは宇宙の法則にそもそも反するし、永遠に成長しないといけない、永遠に膨張しないといけないんですね。
もっと言うと、誰かが借金をしてくれないと誰かの資産が増えない、という仕組みになっていますので無限膨張顔無しシステムみたいな感じなんですよ。


だから、始めた時からいつかは終わることが宿命付けられたシステムだと思うんですね。

とはいえ欠陥がありながらもここまで続けてやってきたものの、いよいよ日本はもちろんそうですが、日米欧ですね。主要先進国の債務がもう膨大になってしまい、多分アメリカは米国債、アメリカの債務を返す気がないと思うんです。というか、もう多分返せないと思うんです。

日本の場合はまだ、資産と負債を合わせるとなんとかやっていけるような状況ですが、いずれにしても日米欧は、みんな一蓮托生みたいな状況ですから・・・。仮に例えばアメリカがダメになるとすると、欧も当然影響を受けますよね。世界も影響を受けますよね。

こういうようなことをいつやるのかという、今タイミング待ちだという風に私は考えています。
それをグレートリセットとか金融リセットという風に言っているんですね。

日矛

実際のところ、これだけ超格差社会ですよね。

お金の流れが正常ではない流れ方をしているということですが、おそらく超富裕層側にとっても流さないこと、回さないことには自分たちが利益を生み出さないというジレンマがあり、それで色々なお金のばら撒き方をしているんでしょうが・・・。

一方そのシステムそのものを、一度崩してしまいましょうというような考え方もあるんですか。つまりハードランディングをしようというようなところは、どうなんでしょうか。

長嶋修

直近のことでいうと、アメリカ大統領選挙の結果がどういう風になるのかにもよるんだと思うんですね。

カマラハリスがもし大統領になるとすると、とりあえずその民主党政権、バイデン政権的な従来型のことをとりあえず続ける、ということになると思うんです。

一方でトランプ政権ということになると、今アメリカでトランプ側というか共和党側というかこの南側ですね、経済南北戦争が起きているんですよ。

こちら側では今、金プラスアルファをベースとする、新しい通貨を発行する、要は新ドルを発行するという風にトランプは公約しているわけなんです。これは全然取り上げられないんですけど、これを多分新政権になると本気でやるんだと思うんですよ。となると、旧ドルはどうするの?という話になるということですね。アメリカの中だけでもそんな感じなんです。

▼BRICSの台頭と米ドル一極支配の終焉

長嶋修

もう1つは東西対立というか、BRICSに対する先進国という構図で、今BRICSがどんどん大きくなってきているんです。まだ先進国の規模には追いついていないんですけれども、最終的には多くの国がBRICSに加わり、アジアだけでもタイとマレーシアが入ると言っているんですよね。

ということで、10月の後半にBRICS会議がまたあるんですが、その時にある程度のシステムについての発表があるんだと思います。だから10月後半のその公表を楽しみにしたいと思うんです。

そもそも今なんでこういう風になっているかというと、経済、金融と軍事はセットだからなんですよ。
この金融システムを守ろうと思うと、警察が同時にいないといけないという話なんですね。


しかしまずこの警察のところを、今米軍が引いていますよね。イラクからも全部ではないにせよもう引き出して、やがて世界から引いていくということになるんだと思うんです。トランプはそれを公約しているんです。

ということは、世界から戦争が終わるという少し話が大きくなってしまうんですが、戦争がなくなるという文脈とともに、米ドル一極支配体制みたいなものも一緒に縮んでいかざるを得ないという文脈の中にあるんですね。

それに取って代わるように新ドルや、ロシアや中国を中心とするBRICSの新しい金融システムがあり、こちらもやはり基本は金本位制と残りは各国の通貨をバスケットにして、これで通貨を発行するということを今計画しているんですよね。

日矛

今のお話を伺って、いくつか私の中で思うところがあるんですが・・・。
1つは、今までこのFRBの通貨発行権を実質牛耳っていたのが、もし新ドルができるとしたら・・・。

かつてそれをやろうとして、暗殺された大統領がいますよね。そういう風な勢力が今もあるとしたら・・・。

この前暗殺未遂になりましたけれども、おそらくそのような勢力があるとして、今度もしトランプが大統領になった時に、やはりそのような勢力がそれに歯向かうような流れもありそうな気がするんですが。

長嶋修

歯向かうとしたら下っ端というか・・・。
この前暗殺未遂ということもありましたね。おっしゃる通り、あまり表では言えないんですが、これまで何人かいろんなことがありました。その理由は、金融システムを変えようしたからだと・・・これははっきりしないんですけれどもね。

でも事実なのは、やろうとした人たちが・・・ということではあります。

私は多分今回は大丈夫だというか、そのためのトランプ政権だと思うんですね。トランプ本人がどうなるかはわかりませんが。

いずれにしても、今のシステムがもう本当に持続可能ではないので、いつどのタイミングで変えるかという話になっているんだと思うんです。どこで話になっているんだ?ということかもしれないんですが。

その中での役割としてのトランプで、あるいはダークマガとしてのXのイーロンマスク、ということなんだと思うんですよ。

何か1つの劇場というか、物語みたいな感じで私はあれを半分楽しんで見ているんですけれども、川の流れが目先的には民主党vs共和党ぐらいの感じですが、今回は多分もっと世界の潮流を大きく変革するような動きになっているんだと思いますよ。

▼新紙幣の裏付けとなるものは?

日矛

それは多分、凄まじい歴史の転換点だと思うんですよね。

アメリカにとって、通貨発行権が戻るということですね。
ということは、そこで何か大きなヒントが今、いくつかちらほら出てきているのを感じるんですが・・・。

例えば昔、兌換紙幣の時代は金という裏付けがあって発行していた。それが信用経済に変わったという流れがあるんですけれども、それがもう一度何か、金かどうか分かりませんけれども、何か紙幣の裏付けとなるものが出てくるという予想がつきますよね。

長嶋修

そうなんですよね。

元々今の金融体制は、特にドルということで言えば金の裏付けがあったんですね。しかし金が足りないからということで、20数年で終わってしまって、1971年のニクソンショックで金の裏付けを外したんです。

そこから無限膨張金融システムが始まったわけですけど、この後裏付けになったのは、事実上オイルですよね。

ペトロダラー制みたいなことで、サウジを始めとする国々に、「オイルを決済する時には、主にドルでやれ!」ということで、世界の金融を事実上握ることができた、ということだったと思うんです。

しかし今よく世界を見てみると、中東の産油国、かつて西側の言うことをよく聞いていたサウジを始めとする近隣の一連の国は、みんな勝手なことをやっていますから。
BIRCS側に入ってしまっていますから。
NATOに入っているトルコすら、もうこちらに入ってしまい、今はあとは残りインドぐらいという感じになっているんですよね。

では、次はこの金融システムは何をベースにするのかということに関しては、いろんな意見があります。

元々、新しいお金の出し方みたいなことを考える時に、「財源はどうするんだ?」と言う話に日本でもよくなるじゃないですか。例えば日本でベーシックインカムのような話をすると、「じゃあ財源はどうするんだ?」みたいな話なんですけれども・・・。

財源ってもう最初からないじゃないですか。結局は国債を発行して借金でやっているわけですよね。だからその固定観念から、私は捨てる必要があると思っています。

今みたいな財源論を言う前は、政府が紙幣を発行していたわけですよね。それで何の問題もなかったんです。

そうは言っても、次はとりあえず何か形を作らなくてはいけない、ということで考えられるのは金本位制に戻るか、金プラスいろんな国のGDPをベースにするか、あるいはSDRと言ってIMFの通貨引き出し権があるんですけども、それを担保として発行するか何にするかはよくわかりません。

けれども結局のところ、何でもいいんだと思うんです。
「これでやることにしよう!」とみんなが信用して決めたという風になれば、みんながそれを信用するわけですから、それでスタートできるはずです。

日矛

なるほどですね。色々な可能性があるというところは、今見えてきたと思います。

あともう1つ、最初の話に戻りますとトランプが政権を取った時におそらく如実に出てくるのが、軍産複合体が引いていくというところが未来として見えてくると思うんですね。

そうすると相対的にBRICS側が今度大きな力を持ってくる、というところまでの流れは分かるんですけど・・・。
例えばドルのように世界を支配するような通貨の役割が、果たしてBRICSというものにできるかということですね。
BRICSは、どう考えても一枚岩ではないですよね。


例えばデジタル人民元というものがありますが、それがドルに代わるとも到底思えないんですよね。その辺のところどうですか。

BRICS側の体制がもし主流になってくるとしても、本当にそこでまた紆余曲折ありそうな気がするんですけれども。

長嶋修

BRICSが台頭してロシア、中国を中心とするあちら側が今度勝つ時代になるかというと、多分そういう風にならないと思います。

これから起きることは、多分世界の均質化というか、これは言い方が難しいんですが誤解を恐れずに言うと、ある意味世界政府的なものが出来上がって、金融システムもそのようになるんだと思います。

ここで言っている意味は明治維新以降ですね。かつては会津藩だ、島津藩だなどと言っていたものが、日本ということで1つにまとまって明治政府ができて、今の日本が成立したわけですよね。

あれと同じようなイメージで、日本やアメリカなどいろんな国が、今の都道府県のような感じになるイメージです。

そしてこれがBISかIMFか分かりませんけれども、ここがある程度通貨供給量をコントロールするということです。
このメリットは、無限膨張金融システムが少なくとも終わるということです。


今、同時にデジタル通貨の話をしていますよね。

全体を補足する、お金の行方を補足する、プラスそれを100倍1000倍に膨らませるようなことは禁止する。ということになるんだと思います。

これは私たち一般市民にとっては、とてもいいことだと思います。

これまでのように少額のお金を使って、ものすごいレバレッジを効かせて株を上げたり下げたり、商品相場を上げたり下げたりと右往左往していたようなことが、まずなくなり落ち着くということになります。

しかしこういう話をすると支配され、管理される世の中がこれからやってくるんではないか、と映画ターミネーターの設定みたいに思う人もいるのかもしれません。

でも多分そういう風にはならないと思うので大丈夫だし、いいか悪いかは別として、全体を見るとそういう方向に今進んでいるんですよ。

日矛

今までのところを、少しまとめさせていただきますね。

まず今の金融のシステム自体が、歴史が新しかったということで、1825年から始まりまだ200年ぐらいの体制であるということ。

その中でもういい加減この歪み、ガタがいろんなところで来ていて、それは体制側も我々もみんな分かっていて、次に飛び込む準備はもうできているということですね。

それがハードランディングになるか、ソフトランディングになるかは分からないんですが、おそらくここ数年で大きな変化が起きてくるということですね。
そしてそれが、特にアメリカ大統領選に沿って、どのような形になるかというシナリオが見えてくる、という話でした。

これが大きな流れでいくと、アメリカ一極支配のドル支配というものがまず衰退してなくなっていくということ。
そんな中で、かといってBRICS側が指導権を握るということでもなく、それを世界的にうまく調整するようなシステムが出てくるであろう、というところでそれを期待したいということですね。

長嶋修

そうです。

物事が変わるためには、まず今のシステムが1回壊れるというか、消えてなくなっていくことが必要ですので、自滅するか何かにやられるか、両方かもしれませんけれども今そういうフェーズだと思うんです。

その作業があらかた進んだ後、新しいものが立ち上がって
いくということです。イメージとしては、大体2030年ぐらいにはもうすっかり春を迎えるというか、新しい体制が整って、みんなもある程度納得してそのシステムで次の時代に向かっていく、という風になるんだと思うんですよ。

こういう話をして誤解していただきたくないのは、なんとかゲーツとか、Rフェラーとか、なんとかチャイルドみたいなのが裏で企んでいて、喜んでいるみたいな話になると思うんですけど・・・。

それは現行の仕組みの中で与えられて、役割としてやっているだけなんですよ。これがなくなったらどうなるんですか?という話なんですよね。

だからあまり世の中には悪いやつがいて・・・みたいに考えない方がいいと思います。みんな役割でやっているんで。

日矛

そうですね。

世の中の動きを私たちは粛々と見極めて、もし今後そういう明るい未来がやってくるとしたら、それに向かう産みの苦しみがおそらくあるんですよね。なぜかというと、今歪みがあるからです。

その歪みにどれだけ膿を出して新しいところに向かっていくかということで、きっとこの変化が来るということを承知の上で、例えば財産などの確保を考えていくことになるんでしょうね。

長嶋修

多分いつの時代でも、262の法則というか、正規分布の15対70対15の法則みたいなものが幾何学構造で成立しているんですよ。

そうしたいろんなことに気づいている人で、いち早くそちらの体制に対応できる人が、多分15%か20%ぐらいだと思うんです。
真ん中の60%から70%ぐらいの人は、「いやなんかそんな感じもするけど、でもニュースではそんなこと言ってないし、周りの大人も言ってないしどうなのかなあ?」みたいな感じで、日々が過ぎていくんです。
最後の15%は、何がどうあっても、いつも変わらないわけです。

けれども世の中が変わるとか、私たちがニュースで見るとか、歴史が変わったということを知るのは、いつも真ん中の話をしているわけなんですね。

いつの時代でも、上位、下位と差別的に言っているわけではなくて、気づきの速さ程度の意味合いなんですが、いつもそんな感じなんです。明治維新直前は15%ぐらいの人は気づいていたはずだし、敗戦前も15%の人は気づいていたと思うんですね。

今がそういう時代なんですよ。

日矛

そうですね。

右往左往することなく見極めるために、やはり気づき側の人間になりたいですよね。

長嶋修

はい。

私たちは今の生活も大事だし、今の人間関係も大事なんですけれども、そこもちゃんとやっておきつつ新しい時代にも備えておく、というすり足みたいなスタンスが多分いいんじゃないですかね。

私も会社のオーナーなんですけれども、現実的に毎日毎月の売上は回していかないといけないわけです。でもそれをやりつつも、新しい時代のことも同時にやっておくというか、どちらかというと新しいよりの考え方とやり方をしておくというのが、多分1番今スタンスとしていいような気がします。

日矛

そうですね。

実務経験でちゃんと日々を過ごしながら、ちゃんとアンテナも貼っておくといざとなった時に役に立つということですよね。

長嶋修

あまり、「これからグレードリセットが来るぞ!」なんてことばかり言っていると、多分誰も話を聞いてくれないので、うちの強みは現実の経営もちゃんとやっていることなんです。

こういう中で、現実の経営を持続可能に10年、20年どころではなく50年、100年続く企業、働き方、仕事というものはどういうことなのか、ということを考えながらやってきた結果こういう人間が出来上がっているので、ということでご理解いただければと思います。

日矛

今日はすごく興味深い話をいっぱい伺ってきたんですけれども、長嶋さんの新刊本に今日の話の心髄みたいなものを書いておられますので、興味がおありの方はご覧になってください。

またお越しいただいて、詳しいお話を伺えたらと思います。今後ともよろしくお願いします。
どうもありがとうございました。

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